国鉄資料 札幌〜北広島間 信号・線路・構内図 昭和48年8月 小樽築港機関区
「札幌〜北広島間 信号・線路・構内図 昭和48年8月 小樽築港機関区」という青焼きコピー折本式の資料のご紹介です。
機関区で作成された運転用の線路図のようですが、曲線・勾配などの線路縦断面図は含まれていません。また、側線等は適宜省略されており、入換標識も単独機構のものは記載されていないようです。
昭和48年8月作成ということで、千歳新線の開業を見越して作成された資料かもしれません。
(0)進入・進出ルート一覧表 (札幌〜苗穂〜白石〜厚別・上野幌)
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(1)札幌〜苗穂間
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白石駅ですが、場内・出発信号機は、札幌貨物ターミナル駅と一体になっているようです。札幌貨物ターミナル駅が「新札幌(貨)」であった頃は、白石〜新札幌(貨)間は、白石からの支線扱いで白石〜新札幌(貨)間は入換(構内運転?)によっていたようです。
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残念ながら、手元にあるのは昭和60年代の資料のみです。隣の手宮線はオマケということで。
東札幌支線(白石〜東札幌間)の常用閉そく方式は、連動閉そく式だったようです。ちなみに、手宮線(南小樽〜手宮間)の常用閉そく方式は、通票閉そく式(第3種)だったようです。
駅の構内略図については、入換信号機、入換標識は、建植されていたとしても省略されているようです。
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ファイルサイズの関係上、白石駅の札幌方は(3)の範囲にしましたので、場内・出発信号機を通しでみるには、下のRC制御図の方がいいかもしれません。
図面上、単独機構の入換標識は、線路表示式のものも含めて、建植されていたとしても、記載されていないようです。ユーチューブ等で現在の札幌貨物ターミナル駅の映像をみますと、少なくとも、線路表示式入換標識は設備されているようですね。
昭和55年10月現在の構内図と比べて、操車場着発線と函館本線・千歳線の間の仕訳線が記載されていません。この時点では未整備だったのでしょうか。
白石通路線、厚別通路線、千歳通路線の3通路線とも単線で本線との分岐が平面交差なのは少し意外でした。当時として、将来、旅客列車・貨物列車の輸送量が増えた際は、立体交差化の構想でもあったのでしょうか。
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現在は、CTCされているのだと思いますが、当時は、白石、厚別、新札幌、上野幌が、札幌貨物ターミナルのRC非制御駅だったようですね。
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(4)の図面の千歳新線・新札幌から沼ノ端方面の図面です。函館本線は、(4)の厚別駅までしか掲載されていませんでした。
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(6)北海道総局停車場進入進出速度取扱基準規程(昭和46年3月)より推定する千歳新線開業前の札幌・苗穂間にあったと推定される「南本線」のこと
最後に、千歳新線開業前の札幌〜苗穂間の本線3線区間の線路の使用方について推定したいと思います。
ウィキペディア「札幌駅」の年表を参考にしますと、昭和40年9月25日に札幌〜苗穂間が3線化されたことが記載されています。これは、本線の3線化を意味すると考えられます。
鉄道雑誌等に掲載されている昭和30年代の札幌駅の配線略図をみますと、札幌〜苗穂間には、本線2線に南・北側線の計4本の線路が設備されていたようです。すなわち、南・北の側線は、昭和40年において既に存在していたわけです。
では、昭和40年9月25日に3線化された本線は、本ページで紹介した線路図にあるように、上下本線に中本線の3線であったかというと実はそうではなかったようなのです。
手元に「北海道総局停車場進入進出速度取扱基準規程 昭和46年3月 (直轄管内用)」という冊子があるのですが、それにある「停車場進入進出速度表」という表をみますと、札幌駅と苗穂駅のところに「南本線」という線名がでてくるのです。
これから推定しますと、札幌〜苗穂間本線3線化後、千歳新線の開業まで、 札幌〜苗穂間の線路配置は、「北側線、函館下り本線、函館上り本線、南本線、南側線」の5線だったのではないかと思われるのです。
本線だけ考えてみると、現在の札幌〜桑園間の「北線(北本線?)、函館下り本線、函館上り本線」の使用方とちょっと似通ってますよね。
件の基準規程を以下に抜粋します。上の方は、規程の冒頭から凡例までです。
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そして、「停車場進入進出速度表」の抜粋です。「中本線」ではなく「南本線」の記載が気なりますね。もちろん、この表だけから、各停車場・停車場間の細かな線路配置までを推定することにはやや無理があると思われるのですが、札幌、苗穂両駅の進入・進出の記載から、この「南本線」という本線が、札幌〜苗穂間だけにあったということは推定できると思います。
ところで、札幌〜苗穂間とは関係ありませんが、白石駅の上り主本線相当の2番線への進入制限90キロ(条件:クロッシング6番)というのが気になりますね。新札幌(貨)への貨物線とのダイヤモンドクロッシングによる平面交差があったのでしょうか。
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上の表をもとにして、各線から各停車場への進入・進出を図示してみると、以下のようになるのではと思います。
札幌駅0番線は、札幌〜苗穂間の本線3線化と同じ昭和40年9月25日より供用を開始されたようです。(ウィキペディア「札幌駅」の年表より)
苗穂駅で、8・9番線を函館本線・千歳線共通の上下主本線とし、6・7番線を函館本線・千歳線共通の通過可能な上下副本線(ただし、函館本線の列車は「南本線」を運転する列車のみ通過可能と表から解釈できる)としているところがユニークだと思いました。
札幌駅の3番線(上り主本線)が下り方面へ進出できることと、苗穂駅の6・7番線が通過可能なことで、札幌駅で折り返す千歳線の上下優等列車が南本線を走行することを可能にしているのではないかと考えました。
残念ながら配線略図は手元にありませんが、当時の札幌〜苗穂間の渡り線の設置状況や、苗穂駅の旭川方の配線なども気になりますね。