閑話休題012 <国鉄・示達資料> 遠方信号機を設けた自動閉そく式施行区間における運転取扱い等について 昭和55年7月15日 北海道総局

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 ここで紹介する昭和55年7月15日付けの国鉄・北海道総局局報は、旭川鉄道管理局管内の

宗谷本線 新旭川〜北旭川〜永山間

石北本線 新旭川〜東旭川間 

石北本線 新旭川〜北旭川間(貨物支線)

で、常用閉そく式として、「単線自動閉そく式(特殊)」(いわゆる単線自動(B))が施行されるのにともなって、北海道総局において「自動閉そく式 単線(特殊)」を新たに制定する旨の通達が示達されたことを「照会」するために出された号外のようです。

 この付近の当時の配線略図は、2019年09月15日にアップロードした  国鉄 新旭川駅(昭和56年5月)北旭川駅(昭和56年5月 昭和59年2月)と石北本線・貨物支線 配線略図(昭和55年8月26日) をご参照いただければと思います。

 

 「単線自動閉そく式(特殊)」は、列車回数の少ない線区の経営改善のため、線区の実情に見合ったCTC化を実施するという考えのもとに(※)、その前提となる自動信号化のために昭和40年当初から開発された「自動閉そく装置(特殊)」(※※)を設備して施行される閉そく方式で、昭和45年9月に認められた(※※)(45.9.30 運保第1108号)(※)ものです。

(※)「目でみてわかる 運転取扱規定技術図典 大沢健著 交友社 昭和54年11月30日 改訂第10版発行」より「6 閉そく 20.遠方信号機を設けた自動閉そく式」87〜88ページの記述を参考にしました。

(※※)「運転保安設備の解説 吉武勇 明本昭義著 日本鉄道図書株式会社 昭和59年9月16日(第6版)発行」より「1.2.3 自動閉そく装置(特殊)・・・(自動B)」9ページの1〜10行目の記述を参考にしました。 

 ただ、この閉そく方式に関する取扱いは、当初から、そして、国鉄時代の最後まで、国鉄・本社制定の「運転取扱基準規程」「運転保安設備基準規程」「信号設備施設基準規程」などにおいては規定されることなく、「単線自動閉そく式(特殊)」が施行される線区を管轄する鉄道総局や鉄道管理局が、それぞれ通達や各種規程のなかで規定していたようです。

 このことに関しては、当ページの後半で紹介する旭川車掌区の昭和55年8月26日付けの文書である「自動閉そく式(特殊)施行区間における運転取扱いについて」の「前文」「3 運転取扱基準規程の適用の基本的考え方」に解説されています。

 また、のちに制定される「特殊自動閉そく式」(軌道回路検知式:57.10.14 運保第448号 (※※※)、電子符号照査式:昭和61年11月1日改正より使用開始(※※※※))についても、「単線自動閉そく式(特殊)」と同様に、各鉄道管理局毎の通達や各種規程で規定されるということだったようです。

 なぜ、これらの閉そく方式を、「運転取扱基準規程」を改訂してその中で規定しなかったのでしょうかね??(汗)

(※※※)「目でみてわかる 運転取扱規定技術図典 大沢健著 交友社 昭和61年6月5日 改訂増補第13版発行」(「鉄道ファン図書館」の電子版)の94ページを参考にしました。

(※※※※)「鉄道ジャーナル 昭和61年12月号(No.240)特集●国鉄輸送の大いなる転進」所収 特集記事「新しい特殊自動閉塞装置 国鉄運転局保安課補佐(当時)倉町公之」97〜99ページを参考にしました。

 

 従いまして、このページで紹介する通達などは、北海道総局での取扱いであり、他局・他線区においては、細かな点においては取り扱いに差異がある可能性があることをあらかじめご了解いただいた上で、ご高覧下さればと思います。もちろん、上記の「45.9.30 運保第1108号」という通達に基づいている以上、主要な点においては、他局・他線区においても、ほぼ同様の取り扱いだったのではと思われます。

 なお、他局に関しては、盛岡局での取扱い(局の特殊運転取扱基準規程で規定)に関しては、私もよく拝見して勉強させていただいているksysblogさんのブログである「鉄道資料箱」の記事 「4007 盛岡鉄道管理局列車運転特殊取扱基準規程 自動閉そく式(特殊) (2024/01/08)」 にあります。解説もたいへん丁寧でわかりやすいので、僭越ながら、是非お勧めしたいと思います。

 また、東京北局での取扱い(局のCTC運転取扱基準規程で規定)に関しては、私のHPの「国鉄 川越線 大宮〜日進間」<参考事項> 自動閉そく式(特殊)施行区間の特殊取扱い にありますので、興味のある方は参考にしていただければと思います。

 

1、北海道総局報(号外)昭和55年7月15日(火曜日)通達照会 

 今回紹介の局報(号外)は、B4版横サイズのわら半紙・片面1枚に、ガリ版印刷されています。半分に折るとB5版縦サイズ2ページ分となります。

 「通達照会」となっています。「照会」とは、ここでは、「確認」という意味でいいのかと思われます。

(1−01)前文、第1項、第2項 

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

 通達・第1項では、この常用閉そく方式の名称が示されており、施行区間については、北海道総局運転取扱基準規程・第89条(別表第11)に規定するとなっています。

 ここで、昭和55年7月15日以降が現行の「総局運規」は、残念ながら、私の手元にはありませんので、紹介はできないのですが、昭和50年3月現行版ですと、

北海道総局・運転取扱基準規程(昭和50年3月)より

第89条 常用閉そく方式とその閉そく区間並びに通票閉そく式、票券閉そく式及び通票式の通票の種類は、別表第11のとおりとする。

2 省略

となっております。

 ちなみに、昭和50年3月現行版では、別表第11において、

宗谷本線 新旭川〜音威子府 連査閉そく式

石北本線 新旭川〜網走   通票閉そく式

に指定されております。

 通達・第2項では、車掌の乗務省略区間に指定できる旨が規定されています。

 これは、当時として、かなり重要だったようです。単線自動(A)区間になってしまうと、「車掌乗務省略区間」に指定できなくなってしまったようです。停車場間に許容信号機である閉そく信号機が建植される単線自動(A)区間では、列車防護要員である「車掌」の乗務省略は、保安上、認められないということなのでしょう。

 自動閉そく式だが、非自動区間のように、停車場間は1閉塞で1列車のみ運行されるということで、「車掌乗務省略」を容認できるという解釈なのでしょうか。

 とはいっても、当時の「車掌乗務省略」とは、その区間を走行する旅客列車のワンマン化を目指そうとしたものではなかったようです。

 以下に通達・第2項にある北海道総局運転取扱基準規程の第21条、及びを第22条、23条を紹介いたします。

北海道総局・運転取扱基準規程(昭和50年3月)より第21条、第21条の2、第21条の3を抜粋

 また、この昭和50年3月現行版の別表第3(21条)では、

宗谷本線 新旭川〜幌延〜稚内

石北本線 新旭川〜網走、貨物支線

が「車掌乗務省略区間」として記載されております。なお、ここでの「貨物支線」は、網走〜浜網走間の貨物支線ではないかと思われます。

北海道総局・運転取扱基準規程(昭和50年3月)より第22条、第23条を抜粋

(1−02)第3項〜第5項

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

 通達・第3〜5項は、信号機に関する規定となります。遠方信号機についてもここで規定されていますね。

(1−03)第6項〜第8項

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

 通達・第6〜8項は、信号機の現示についての規定ですね。

 第8項にある北海道総局・運転取扱基準規程(昭和50年3月)第124条を以下に抜粋します。

(自動区間における停止信号現示を定位とすることの指定)

第124条 自動区間における次の停車場の主本線に対する場内信号機及び出発信号機は、停止信号の現示を定位とする。

函館本線 函館、五稜郭、森、長万部、小樽、札幌、札幌貨物ターミナル、岩見沢、滝川、深川、旭川

室蘭本線 北入江、東室蘭、苫小牧(本屋の室蘭本線及び日高本線の上り第1場内信号機を除く。)、追分、室蘭  

根室本線 帯広、釧路

宗谷本線 新旭川 

 

(1−04)第9項〜第12項

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

通達・第9〜12項は、信号機の取扱いに関する規定ですね。

(1−05)第13項

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

通達・第13項は、遠方信号機の現示に対する運転速度が規定されています。

(1−06)第14項〜第15項

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

通達・第14項では、自動区間とは異なる取扱いを行う事項が規定されており、通達・第15項では、自動区間ですべき取扱いを行わない事項が規定されています。どちらも特殊取扱いということになると思います。

通達・第14項(1)について、北海道総局・運転取扱基準規程(昭和50年3月)には、第120条第1項について、第2号に相当する条文はまだありませんでした。 

 

<以上 1、北海道総局報(号外)昭和55年7月15日(火曜日)通達照会

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

 

2、自動閉そく式(特殊)施行区間における運転取扱いについて 昭和55年8月26日 旭川車掌区

 新しい閉そく方式施行に向けて、旭川車掌区で作成された研究・参考資料のようです。局報に掲載された通達事項をわかりやすく解説しています。

(2−01)前文

前文   3−1 3−2 3−3

 

(2−02)1 総局運規の一部改正

前文 1  3−1 3−2 3−3

 

(2−03)2 旭川鉄道管理局運転取扱基準規程の一部改正

前文  2 3−1 3−2 3−3

 旭川鉄道管理局・運転取扱基準規程については、手元にありませんので、残念ながら、当HPで抜粋等での紹介はできません。

 

(2−04)運転取扱基準規程の適用の基本的考え方 前文

前文   3−1 3−2 3−3

 

(2−05)運転取扱基準規程の適用の基本的考え方 取扱い ア〜ク

前文   3−1 3−2 3−3

 

(2−06)運転取扱基準規程の適用の基本的考え方 取扱い カ〜シ

前文   3−1 3−2 3−3

 

<以上 2、自動閉そく式(特殊)施行区間における運転取扱いについて 昭和55年8月26日 旭川車掌区

前文   3−1 3−2 3−3

<1、北海道総局報(号外)昭和55年7月15日(火曜日)通達照会

前文〜第2項 第3〜5項 第6〜8項 第9〜12項 第13項 第14〜15項 

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